最近茶葉を切らせてしまったので買いに行くことにしました。普通に台北市内の茶葉屋さんでも買えますが、やはりここは産地まで行きたいところ。生産者の話も聞けるし、大抵郊外(というレベルでは済まないことも多いですが)週末の小旅行にぴったりです。しかも安いです。

さてどこへ行くかを考えるにあたって今回あまり遠出はできなかったので比較的近くで探したところ桃園市の龍潭區がヒットしました。ここでは台湾十大名茶の一つ龍潭龍泉茶が採れます。さらに龍潭は友人の勤めているカフェもあるので帰りがけに寄れるな、ということで決定。ネックは交通で見るからにアクセスが悪そうなところなのですが、ギリギリ行けそうなので決行しました。

何はともあれ適当な手段(台北からの場合は基本高速バス)で龍潭中心部へ。もちろんここに茶畑はないのでコミュニティバスに乗り換えます。バスはF719路で龍潭大池の傍から出ているのですが、このバスというのが

1日2本。午前便で行って午後便で帰るしかありません。滞在時間は3時間半固定。これがギリギリと表現した1つ目の理由です。ありがたいことにこのバスは無料で乗車できます。
ちなみにこの路線、Y字の下から上がって右の枝往復→左の枝往復→右の枝往復→下に戻るという変わった動きをします。よって右の枝にある停留所は片道で2回通過することになります。

目的地は右の枝の終点店子湖。10分ほどの乗車で到着しました。

そしてギリギリと表現した2つ目の理由。ここから茶畑が多い地域までは2km以上あり30分ほど歩かねばなりません。まあ、がんばりましょう。

バス停から少し歩くと早速製茶工場が見えてきました。しかも私が好きな自產自銷(生産直売)です。

味のある建物でかなり気になるのですが、今回当たりをつけておいた製茶場はまだまだ先ですし時間も余りまくっているので後で寄ることにして先に進みます。20分ほど歩いたところでいい感じの場所に出ました。

綺麗な茶畑です。

途中謎のマスコットと謎の数字が出現。標高でしょうか?

ここで一旦道をそれて坂を下ってみました。地図を見ると江家古厝(濟陽堂)という古蹟があるので行ってみましたが、現役の住居で外から眺めるだけでした。

本筋に戻りさらに進むと日本の田舎でも見かける無人販売が。ピーマンやドラゴンフルーツなんかを売っていました。

寄り道含めて40分ほどで目指す尚好龍泉茗茶さんに着いたのですが…なんと閉まっていました。

幸い向かいにも立派な石の看板を掲げた製茶場があったのでそちらへ回ってみました。

中には製茶の設備が。

ここはおばちゃんがいて対応してくれたのですが…なんとなんと2日前に茶を出荷してしまい全然残っていないとのこと。先程留守だった向かいは午前に出かけてしまい午後になるまで戻らないとのこと。どうにもこうにもタイミングが悪いです。居合わせた別のおばちゃんも同じ状況の様子。
しかしまだ大丈夫。もう一軒調べておいたこのあたりで一番大きいと思われる三水茗園さんへ向かうことにしました。少し戻って下ると10分ほどで着きます。ここも綺麗な斜面の茶畑。

そしていたるところに茶裏王のロゴが。というのも三水さんは茶裏王の契約農家でここの茶葉が製品に使われており、CMを撮影したこともあるようです。

入り口にいた人が中に誰かいるから声かけて!と言われたのですが、人の気配なし…?

不在時はここに電話してと張り紙があるので掛けようと思っていると同じ建物の向かって左の方からこちらへどうぞという声が。招かれて入るとここにも製茶の設備が。

ぜひこっちも撮って、と言われた入賞のプレート。

残念ながら試飲スペースはなくタンクに入っていたお茶を頂いただけになりましたが、目当ての龍潭龍泉茶は無事買うことができました。半斤(300g)で250元とペットボトル茶の原料になるだけあってかなり安めです。買ってすぐ出てしまったので詳しくは聞きませんでしたが、どうも同じ敷地で兄弟がそれぞれやっているような感じでした。

さて、ここで折り返し(実際にはそのまま一方通行で進んで先程見た古蹟を通って元の道に復帰)頑張ってバス停まで戻ります。時間は十分あるので最初に見た日東茶廠さんへ行ってみました。

大変年季の入った建物です。

中にはおばあちゃんが一人。ぱっと見普通の雑貨店のようですが、お茶ある?と聞くとあるよ!と右奥のスペースに案内してくれました。そこにはガラス戸棚があり、茶が並んでいました(残念ながら写真は撮り損ねました)。ここでも龍潭龍泉茶を購入。こちらでは300元でした。お茶用の据え付けテーブルもあり、試飲もできそうだったのですがやっていないとのこと。一人で店番をしているので難しいのかもしれません。

さらに奥には加工場らしきものがありました。

しかしおばあちゃんはそんなの撮らないでいいよ!と言います。話を聞くとなんと高齢でしんどいし若者はやらないから機械は皆売ってしまい、売れなかった設備だけが残っているとのこと。つまりここで作られる茶は今年で最後ということです。すると今しがた買った茶葉がとても貴重なものに思えてきました。
バスの時間までまだ1時間くらいあるので中で座らせて貰っていい?と聞くと外のほうがいいというお答え。確かに風が通る軒先にあるベンチに座ると涼しかったです。

町へ戻るには終点まで行って折り返してきた復路のバスに乗るのが普通ですが、無料ですし早く涼みたかったので往路にフライング乗車して無駄に終点まで行ってそのまま折り返してきました。車窓風景は変化がありちょっとしたドライブを楽しむことができました。

今回購入した茶葉。左が三水茗園さん、右が日東茶廠さん。箱は農協あたりが用意しているようでまったく同じものです。日東茶廠さんの方が50元高いのは賞を取っているからでしょうか?これは後で飲み比べてみたいと思います。

返す返すも残念だったのは現地で試飲ができなかったこと。できればまた訪れてみたいところです。
公共交通での訪問は(わかってはいたものの)それなりに大変だったので、新埔や關西を車で回るついでに立ち寄るスタイルが良いのではないかと思います。特に關西は有名な紅茶の産地ですので茶めぐりの旅なども面白そうです。

訪問日 2018.8.5