台南知事官邸は台南市街にある日本統治時代古蹟の一つですが、訪れたことがあるという方はあまり多くないのではないかと思います。台南を何度も訪れている知り合いからもここに行ってきたよ、という話は聞いたことがなく、そんなちょっとマイナーな古蹟にスポットを当ててみたいと思います。
ここがマイナーになってしまっている一番の理由はその立地ではないかと思います。所在地は台鐵台南駅から徒歩数分とアクセス良好なのですが、後站(駅の裏口側)なのです。
日本では西口・東口といった方角や地名がよく使われますが、台鐵では前站(表口)・後站(裏口)という名称が主流、もちろん栄えているのは前站の方で商業施設や繁華街はこちらにあります。台南もほとんどのスポットが前站側にあり、後站にある南知事官邸は観光ルートから外れてしまっているのですね。
ということで台南駅から歩いて官邸の前にやってきました
建物は明治33年に臺南縣知事の官邸として建てられました
三箇所ある六角形を半分にした形の張り出しが特徴的な設計
ここは神社ではありませんが、日本の象徴なのか絵馬掛けが設置されていました
中に入ると棚やテーブルに多数並べられているのは展示品…ではなく商品
ここは民間企業と契約して運営を委託し、その収益で費用をまかなうというスタイルになっています。ここにマイナースポットになってしまっている理由の2つ目があるように思います。といいますのも契約が終了すると次の運営者が決まるまで閉鎖になり一旦表舞台から消えてしまいます。公式サイトも変わり一切がリセット、イチから出直し。こうなると知名度はなかなか上がりづらいです
現在は安提阿設計團隊が知事官邸生活館として運営。誠品書店のような雰囲気です
物販だけではなくカフェも併設されており、観光の途中で立ち寄り古蹟でコーヒー休憩するのもいいと思います
壁には知事官邸や当時の台南についての解説があり興味深いです
ここは知事官邸としてだけはなく、皇族の宿泊所としても使われました。当時皇太子であられた昭和天皇も訪問されており、台湾に二箇所だけ現存する滞在施設の一つとなっています(もう一箇所は台北賓館)
左手奥には食堂
後年皇太子御一行をもてなしたレシピが発見され、ここではそれを再現した食事を味わうことが可能です。ただし一ヶ月以上前からの予約が必要・10名以上・1名3600元~とハードルはかなり高め
二階へ上がってみます
上がったところで振り返り。天井も立派です
こちらは主にアートスペースとして使われていました
テラス部分にも出ることができます
ここから手を振ると皇族気分が味わえるかもしれません
今回は昼間の訪問となりましたが、夜はライトアップされそれもまた綺麗なようです