かつて台北~花蓮間には鉄道以外にも大有巴士が路線バスを運行していました。しかしその後廃止となり、長らく鉄道のみという状態が続いていました。
そのため週末ともなると乗客が集中しチケットは一瞬で売り切れる有様で(人気列車は本当に1秒でなくなります)、旅行計画のネックとなってました。

しかし今年に入り蘇澳~花蓮間に新しい道路(蘇花改)が開通したことにより、バスが頻発することになりました。
そのバスに乗ってきましたのでレポートしたいと思います。

バスは複数の会社が運行していますが、若干停留所が異なる以外基本ルートはほぼ同じ。起点は南港または板橋です。
今回は南港発の統聯客運を利用しました。

南港ターミナルの発券カウンター。2社共通でどちらか先に出る方を選んで買うことができます。

私は事前予約しましたが、出発当日深夜に3連休初日の午前(11:15発)手配というコンディションでまだ席がありました。運賃は290元。
統聯客運は直前まで予約できますが、首都客運・台北客運は乗車当日の予約不可なので注意が必要です)。

新路線開業にあたり目玉の一つが車両。三社共通で回遊號という特別仕様の車が導入されました。
白色塗装で専用のロゴが入り、「最も優雅なバス」を名乗っています。今回は特に回遊號が使われる便を狙って乗りました。


車内とシート。車椅子対応なので広いスペースが取られています。


なお回遊號による運行は各社3往復程度で、ほかは標準仕様の車になります。
こちらは統聯客運の一般仕様車。


南港バスターミナルを11時15分定時に発車

そのまますぐに近くのインターから高速に入り…ません。いきなりの大渋滞でアプローチ線の区間で止まってしまいました。
はるか先まで車列が伸びています。

高速3号線に入ったのは12時半過ぎ。なんとここまでで1時間以上経過しています。

そこからは割とスイスイ、であったのもつかの間。渋滞の名所5号線に接続して再びノロノロ運転に。

13時23分、雪山トンネルを抜け宜蘭縣へ。ここまで2時間少々。

蘇澳の旧道・新道分岐点で小休止。渋滞対策か分岐する交差点のかなり手前からコーンで分けられています。

新道(蘇花改)区間に入ってきました。

蘇澳から和仁かけてセメントを中心とした大規模工場が点在します。

沿線風景は基本山なのですが

一部海が見える区間も

さて、困ったことに新道区間も渋滞しています。止まるほどではないですが、かなりの遅さ。

東澳付近の合流点。蘇花改は全線が新設ではなく、一部旧道と共用している区間があります。そのため合流-分岐を何度か繰り返します。

出発から5時間少々が経過。バスは和仁駅手前の海沿い区間を走っています。

清水付近で旧道と合流し、新線区間はここまで。

新道区間が終わると道はきつくなりますが、景色はグッと良くなります。

ついに山を抜け、平地区間へ。
さすがにここまで来ると混んでいませんが、出発からそろそろ6時間になろうとしています。

出発から5時間50分、台鐵新城駅に到着しました。
降りる人はなく、そのまま発車。

17時45分、ついに終着花蓮駅に到着。ここまでの所要時間はなんと6時間30分でした。高雄まで行くよりだいぶ遠いです。

17時45分、ついに終着花蓮駅に到着。ここまでの所要時間はなんと6時間30分でした。高雄まで行くよりだいぶ遠いです。
連休ということで所定の3時間30分よりはかかるだろうと思っていましたが、ここまでとは予想外。今回はこの路線を体験するための旅で十分時間を取っていたので大丈夫でしたが、通常の旅行手段としては厳しいというのが正直な感想です。

チケットが取りづらい北迴線の救世主として期待され鳴り物入りで登場した路線でしたが、実際のところ搭乗率は低迷しており開業から2ヶ月で早くも減便となっています。

運賃は定価で320元~352元、定刻通りで所要3時間半。鉄道の速達便は2時間で440元です。
また従来からある特急代替手段の鐵公路聯運票(高速バス・普通列車連絡割引きっぷ)では運賃220元前後・所要3時間程度。
バスは中途半端で特急を取れなかった人が仕方なく利用するものになっています(実際そういう会話を車内で耳にしました)。
さらにコロナウイルスの影響でかなり厳しい状況に。

台北側の経路を変える、高速5号線入り口で実施されているような優先レーンを設置するなどしてスピートアップしないと今後尻すぼみになってしまうのではないかと思います。