台湾には数多くの温泉がありますが、その中でも秘湯と言えるのが栗松溫泉です。
所謂野溪溫泉(河原に湧き出ている温泉)で、秘湯らしくまさに秘境と呼べる場所にあり、しかも特定の季節にしか訪れることができません。

以前から興味はあったのですが、春節休みに天気・時間・交通宿泊が揃ったので行ってきました。

栗松溫泉は南部横貫公路上にあり、現在公共交通機関はないため必然的に車でのアクセスとなります。私は前後の行程を考慮して台東市街に前泊し、そこからレンタカーで向かいました。もし栗松溫泉だけ行くのであれば利稻に宿泊すると楽です。

台東を出発したのは午前4:30。実は栗松溫泉へ行く専門のツアーがあり、そのスケジュールを参考に5:30くらいに出るつもりでした。しかし早く起きてしまい、そのまま出発。結果これが大正解でした。
真っ暗な中、国道9号を北上し海端から国道20号(南部横貫公路)へ。急に行き違う車がなくなり、カーブだらけの道に。たまに落石している箇所もあり、慎重に車を進めます。早めに出たので気持ちに余裕を持つことができたのは良かったです。

6時を過ぎた頃、夜が明けてきました。

6時40分頃目的着。空はすっかり明るくなり、待つことなくすぐに歩き始められるはず…だったのですが問題が起きました。入り口が見つからないのです。

事前に情報収集をし、「168.5kまたは169k地点から入っていけばよい」と調べがついていました。ところが着いてみるとネットの写真と様子が一致せず、立っているはずの看板もない。確かに谷へ降りていく道はあり、試しに少し歩いてみたもののやはりおかしい。向かって右の谷に温泉があるはずなのに道は左の谷に向かっています。

すぐに車に戻り、今度はgoogleマップで温泉に向かって途中までまっすぐ道が伸びている地点へ向かいました。
丁度摩天の標識が立っているあたりです。

近くにの路上には明らかにハイカーが停めていると思われる車があり、間違いなさそう。キロポストの数字は164で、ネット情報は5kmほど間違っていたことになります。結局40分ほどロスしましたが、早めに出たおかげて時間が押してしまうことはありませんでした。

以前はこの入口あたりに栗松溫泉の看板があったようですが、工事で撤去されてしまった様子。

初めはこのような農道がしばらく続きます。以前はもうしばらく車で下れたようですが、今は道が悪くなっているので歩いたほうがよいとの記述があり、素直に歩くことにします。

「危険なので自己責任で」の警告看板

1.3キロ地点で鎖が張られており、一般車が入ってこられるのはここまで。

1.7キロ地点(地図上で道が途切れている場所)が入口で、ここから車の入れないハイキングコースになります。

そして側にあるベンチに並べられている軍手。これらは過去に訪れたハイカーが残していったもの。
なぜこのようなものがあるかというと、このコースは軍手必須で事前に情報収集している人は必ず持参するからです。私も購入してきました。

出だしのわずかな区間はなだらかで気持ちの良さそうな道ですが、これはまやかし。
そしてご覧の通りほぼすべてのポールに軍手が被せられていますが、これがかなり先まで延々と続いており恐らく1000組以上はあったと思います。

道はすぐロープに掴まりながら降りなければならない急な下りになり、それがずっと続きます。これが軍手持参でなければならない理由です。
ヘルメットの集団は例のツアーで来られている方々で、さすがに装備は完璧。

歩き始めから50分ほどで川が見えてきました。しかしこの山道最終区間が曲者。これまでに増して傾斜がきつくなり、土+木から岩場へと変わります。
これは下から見上げている様子ですが、険しさがわかりますでしょうか?

ロープにしっかり掴まり、慎重に下へ下へ。

ついに登山道を抜け、河原へと到着しました。しかしここで喜ぶのはまだ早く、最後に一番きつい試練が待っていたのです。

後編へ続きます)